確認日:2026年8月1日
市原市の警備会社のM&A・事業承継では、株式や設備の移転だけを設計しても、警備サービスを翌日から安定して続けられるとは限りません。公安委員会の認定、営業所と警備業務区分、警備員指導教育責任者、機械警備業務管理者、教育記録、配置計画、顧客契約、鍵・映像・入退室情報の管理までを、同じ工程表でつなぐ必要があります。

最初に取引形態を決めるのではなく、「誰の認定で、どの営業所から、どの区分の警備を、誰が指導し、どの契約と要員で継続するか」を一枚にします。特に事業譲渡や新会社への切替えでは、譲渡企業の認定を当然に使えるとは考えず、譲受企業側の認定と開始時期を、所轄警察署を含む関係先へ早い段階で確認してください。
1.市原市の警備会社のM&A・事業承継は、四つの業務区分から整理する
警備業法は警備業務を四つに分けています。第一号は事務所、住宅、興行場、駐車場、遊園地等での盗難などを警戒・防止する業務、第二号は人や車両が雑踏する場所や通行に危険がある場所での負傷等を警戒・防止する業務、第三号は現金、貴金属、美術品等の運搬中の盗難等を警戒・防止する業務、第四号は人の身体への危害を身辺で警戒・防止する業務です。いわゆる施設警備、雑踏・交通誘導、貴重品運搬、身辺警備という整理ですが、契約名だけで区分を判断せず、実際の仕様と配置を照合します。
市原市では、臨海部の工場・事業所、物流拠点、建設・設備工事の現場、商業施設、医療・介護施設、催事や駐車場など、警備対象の性質が幅広くなり得ます。同じ顧客でも、常駐警備、巡回、入退場管理、交通誘導、機械警備が別契約になっていることがあります。譲渡企業が「警備一式」と管理している案件を、業務区分、営業所、配置資格、契約期間、現場原価に分解することが、デューデリジェンスの出発点です。
2.株式譲渡と事業譲渡で「認定の連続性」は同じではない
警備業の認定は、営業主体に対して公安委員会が行うものです。株式譲渡で法人そのものが存続する場合と、事業譲渡等で別法人が業務を引き受ける場合を、同じ「会社の引継ぎ」と扱うのは危険です。株式譲渡でも、役員、代表者、名称、住所、営業所、責任者などに変更があれば、認定事項との照合と所定の届出が必要になり得ます。一方、営業主体が変わる設計では、譲渡企業の認定が譲受企業へ当然に移ると考えないことが重要です。
警備業法には名義貸しの禁止があります。したがって、クロージング後に「申請が終わるまで旧会社名義で一時的に受注する」といった暫定運用を、契約だけで正当化することはできません。取引スキームを検討する段階で、法人の同一性、認定の有効期間、譲受企業の認定状況、営業所の設置、責任者の選任、契約上の承継要件、開始予定日を並べ、千葉県警察・所轄警察署に個別確認します。
3.認定、有効期間、欠格事由をクロージング日から逆算する
警備業を営むには公安委員会の認定が必要で、認定の有効期間は認定日から五年です。期間満了後も営業を続ける場合は更新を受けなければなりません。M&Aの検討時には認定番号だけで安心せず、認定年月日、更新期限、主たる営業所、代表者・役員、取り扱う警備業務区分、過去の変更履歴、更新申請の準備状況を確認します。クロージング直前に更新期日が来るなら、誰がどの体制で更新申請を行うかを合意しておきます。
法人と役員等には法定の欠格事由があります。役員交代を伴う株式譲渡では、新任役員の適格性確認と必要資料の準備を、登記や対外発表より後回しにしないことが大切です。反社会的勢力排除の確認は、表明保証の一文だけで終えず、千葉県警察が案内する誓約書、社内調査、主要取引先の契約条項、過去の照会・改善履歴まで整合を取ります。
- 認定日、更新期限、更新申請の担当者と準備状況
- 主たる営業所と実際の本部機能が一致しているか
- 役員・株主・実質的な支配関係に確認漏れがないか
- 廃止届、名義貸し、無認定営業につながる移行期間が生じないか
4.営業所、法定標識、ウェブ掲載、変更届を一つの台帳で管理する
2024年4月1日から警備業の「認定証」は廃止され、警備業者自身が法定様式の標識を作成し、主たる営業所の見やすい場所に掲示するとともに、法令上の例外を除き自社ウェブサイトへ掲載する仕組みに変わりました。買収監査では、古い認定証が壁にあるかではなく、現在の標識の記載、現地掲示、ウェブ掲載、認定台帳が一致しているかを確認します。
千葉県警察の申請様式ページには、認定・更新、営業所設置、変更、廃止、服装・護身用具、責任者、機械警備などの様式が掲載されています。会社名、所在地、代表者、役員、営業所、責任者が変わる場合は、変更内容ごとに届出期限と添付書類を確認します。現行施行規則では、認定事項の変更届は原則として変更日から十日以内、登記事項証明書を添付する場合は二十日以内とされていますが、すべての手続をこの期限に一括せず、個々の届出先・経由署・時期を確認してください。
市原警察署では生活安全課が警備業の認定申請を扱っています。千葉県内の警察署生活安全課では対象手続の事前予約が案内されているため、効力発生日から逆算して相談枠と書類作成期間も工程に含めます。
5.警備員指導教育責任者は「資格者がいる」だけでは足りない
警備員指導教育責任者は、原則として警備員がいない営業所を除く各営業所に、取り扱う警備業務区分ごとに選任します。一人が複数区分の資格者証を持つ場合でも、実際に専任として指導・教育を担える勤務場所、権限、時間があるかを確認します。名簿に氏名があるだけ、退職予定者に依存しているだけ、別拠点の管理を名目上兼ねているだけでは、承継後の運用が不安定になります。
選任者が欠けた場合に法が設ける十四日間の例外は、通常の後継者計画として使うものではありません。譲渡企業は、資格者証の区分と有効情報、選任届、職務分掌、教育計画、現場巡察、代替候補、退職意向を整理し、譲受企業は処遇、報告ライン、兼務、育成計画を提示します。キーパーソンとの面談は秘密保持に配慮し、顧客への説明時期とずらして実施するのが実務的です。
6.新任・現任教育は、時間数より「対象者・内容・記録」を見る
警備員教育は、事業承継の前後で途切れさせてはいけない運用の一つです。警察庁の通達では、一般の警備員について新任教育は基本教育と業務別教育を合わせ二十時間以上、現任教育は年度ごとに十時間以上とする基準が示されています。ただし、警備員の資格、実務経験、業務区分等によって免除・短縮の取扱いがあるため、在籍人数に一律の時間を掛けるだけでは適正性を判断できません。
確認する資料は、年度教育計画、警備員ごとの新任・現任教育実施簿、科目、講師、受講時間、理解度確認、欠席者の補講、業務別教育、巡察・指導記録です。オンライン講義を用いる場合も、本人確認、受講状況の把握、理解度確認、質問機会などの要件を満たす設計が必要です。動画URLを送っただけ、勤務表上の空き時間を教育時間に振り替えただけでは不十分です。
施行規則に基づく営業所備付書類には、警備員名簿、指導計画、教育計画・実施記録、契約別書類、苦情記録等があります。退職者を含む保存期間も資料ごとに異なるため、データルームへ入れる際は「最新年度だけ」ではなく、法定保存期間を満たす範囲で欠落を確認します。紙から電子へ移行している会社は、検索性、改変防止、アクセス権、バックアップも確認対象です。
7.人員数ではなく、現場を埋める勤務体制と適法な雇用を評価する
警備会社の価値を単純な在籍人数で測ると、実際の供給力を見誤ります。常勤・短時間勤務、日勤・夜勤、資格区分、移動可能範囲、固定現場への習熟、管理業務、休職、採用予定、退職予定を分け、繁忙日と通常日の必要配置に重ねます。とりわけ工場・物流施設の入退場管理や長時間の施設警備は、交代要員と休憩付与が欠けると、受注を維持しても現場運営が続きません。
労働時間、休憩、休日、時間外・休日労働に関する協定、深夜割増、変形労働時間制、最低賃金、健康診断、安全衛生、社会保険の運用を、就業規則だけでなく実績データで確認します。勤務開始前後の朝礼、着替え、装備点検、引継ぎ、現場間移動が労働時間としてどう扱われているかも、未払賃金リスクと現場原価に影響します。
厚生労働省は、警備業法上の警備業務を労働者派遣が禁止される業務として案内しています。応援要員、業務委託、協力会社という名称でも、発注者側が個々の警備員へ直接指揮命令する実態があれば、契約名だけで問題を避けられません。譲渡企業と協力会社の契約、現場指揮命令、制服、勤怠、請求単位を確認し、偽装請負や違法派遣に当たらないかは労務専門家へ個別に確認します。
表は横にスクロールできます。
| 確認層 | 見る資料 | 承継判断 |
|---|---|---|
| 配置可能性 | 資格・区分・勤務地・シフト・休暇 | 契約仕様を欠員なく満たせるか |
| 労務適法性 | 勤怠、賃金台帳、36協定、就業規則 | 未払賃金と是正費用を反映したか |
| 雇用継続 | 雇用契約、処遇、退職意向、通勤 | 重要人材の離脱を前提に感応度を見たか |
| 外部要員 | 委託契約、現場指揮、請求・勤怠 | 派遣禁止と請負の実態を確認したか |
8.顧客契約は、法定書面とM&A条項の両方を照合する
警備業法第十九条は、警備契約を締結する前に契約概要を記載した書面を交付し、締結後は警備内容、対価、支払時期・方法、期間、解除等を明らかにする書面を遅滞なく交付することを求めています。顧客の承諾を得た法定要件に沿う場合は電子的方法も利用できます。M&Aの契約監査では、基本契約書だけでなく、契約前書面、契約後書面、仕様書、見積書、警備計画、覚書が矛盾していないかを確認します。
次に、契約期間、自動更新、解約予告、最低配置、単価改定、再委託、損害賠償、保険、秘密保持、個人情報、監査、反社会的勢力排除、権利義務の譲渡禁止、支配権変更の通知・承諾、入札資格を抽出します。株式譲渡なら顧客承諾が不要と一律に決めず、チェンジ・オブ・コントロール条項や取引基本条件を確認します。事業譲渡では、個々の契約移転に相手方の承諾が必要になることが一般的であるため、顧客別の説明順序と代替案を用意します。
顧客への連絡が早すぎると秘密保持や従業員不安につながり、遅すぎると承諾が停止条件に間に合いません。上位顧客、公共案件、再委託を含む案件、鍵や映像を扱う案件、更新直前の案件に優先順位を付け、匿名段階、基本合意後、最終契約後、クロージング後の説明内容を分けます。
9.機械警備は基地局・待機所・車両・通信を一体で承継する
機械警備を営む警備業者は、対象区域を管轄する公安委員会への届出が必要です。基地局ごとに資格者証を持つ機械警備業務管理者を選任し、受信した異常情報に対して現場確認などの措置が速やかに行われるよう、必要な警備員、待機所、車両その他の装備を適正に配置しなければなりません。施行規則上、開始届は原則として業務開始日の前日までに所轄警察署長を経由して提出します。
デューデリジェンスでは、対象施設一覧、基地局、待機所、通常の路程、通常到着時間、当番者、指令手順、車両、受信装置、通信回線、停電対策、サーバー、保守契約、障害・誤報履歴を確認します。契約数だけが増えていても、待機所や車両の配置が追いつかず即応性が低下していれば、売上成長がそのまま価値にはなりません。市原市内でも、臨海部、内陸部、夜間の道路条件、立入手続により現場到着までの工程は異なります。
規則が求める基地局の備付書類や、受信日時、措置、結果、現場到着時間等の記録を確認し、地図上の理論時間だけでなく実績を見ます。機器の所有者、リース、通信契約、ソフトウェア利用権、保守委託、顧客宅内機器の撤去義務も確認します。譲受企業が別の監視システムを使う場合は、並行稼働、信号変換、顧客試験、障害時の手動対応を移行計画に含めます。
10.顧客・現場別の売上と粗利を、配置実績まで分解する
警備会社では、月額固定の施設警備、時間単価の交通誘導、臨時イベント、機械警備、機器工事・保守などで収益構造が異なります。決算書の売上総利益だけでは、現場ごとの採算、責任者配置の負荷、移動時間、欠員補充、最低賃金改定の影響を判断できません。最低でも直近二十四か月程度を、顧客、現場、業務区分、契約形態、売上、直接人件費、法定福利費、交通費、車両費、外注費、募集費、残業・深夜割増で再集計します。
日報と請求が一致するか、契約配置人数と実配置が一致するか、欠員時の管理者応援が原価に含まれているか、研修時間や移動時間が間接費に隠れていないかを見ます。赤字現場でも、長期顧客への入口、周辺現場との組合せ、機械警備契約への波及といった役割がある場合があります。一方、単価改定を長く行っていない現場や、特定社員の無理な勤務で維持している現場は、承継後に収益が急変しやすい案件です。
収益正常化で分けたい四つの要因
- 一過性:臨時警備、大型催事、災害・工事期間限定の増減
- 構造的:最低賃金、採用費、夜勤、資格手当、車両・通信費
- 経営者依存:無償営業、無給の欠員対応、個人保証、個人的取引関係
- 承継後発生:システム統合、制服更新、届出、顧客再契約、採用・定着施策
11.公共入札、協力会社、保険は「失効・再審査」を先に確認する
自治体や公共施設の案件がある場合は、入札参加資格、指名登録、納税証明、契約保証、実績要件、配置資格、共同企業体、再委託制限の名義と有効期間を確認します。取引形態によって、実績や資格が譲受企業へそのまま引き継がれるとは限りません。発注機関ごとに変更・承継・再審査の扱いが異なるため、案件名、更新時期、必要手続、問い合わせ記録を一覧化します。
協力会社については、認定、業務区分、責任者、教育、保険、再委託承諾、指揮命令の実態を確認します。単価と人数だけを把握していても、相手方のコンプライアンス不備が自社の契約違反や現場停止につながることがあります。委託先の再委託先まで契約上の把握が必要か、顧客へ事前承諾を得ているかも見ます。
賠償責任保険、自動車保険、労災上乗せ、動産・サイバー等の保険は、被保険者、対象業務、対象施設、免責、支払限度、過去事故、更新日を確認します。株式譲渡でも支配権変更による通知が必要な契約があり、事業譲渡では新契約が必要になる場合があります。事故の発生日と保険請求の時期が承継前後をまたぐケースについて、補償と負担の分担を最終契約で定めます。
12.服装、護身用具、車両、無線、現場装備を台帳化する
警備業では、服装や護身用具に関する届出が必要となるため、デザインや在庫の確認だけでなく、届出内容と実物が一致しているかを調べます。制服の貸与・返却、廃棄、社章・標章、サイズ別在庫、予備品、クリーニング費用を確認し、社名変更やブランド統合で更新する場合は、届出、顧客説明、全員への配布、旧制服回収を一つの計画にします。警備員が警察官と誤認されるような表示や説明を行わないことも基本です。
巡回車、現金等の運搬車、送迎車、無線、携帯端末、誘導灯、規制資機材、保護具、AED、鍵保管庫等は、所有、リース、保守、耐用年数、設置場所、使用者、事故・故障履歴を整理します。車両が多い拠点は安全運転管理者制度の対象になり得るため、使用の本拠ごとの台数、選任、届出、運転前後の酒気帯び確認、記録、検知器の管理を確認します。
資産台帳に載っていても、顧客所有品やリース品なら自由に移転できません。反対に、簿価が小さくても警備サービスの継続に不可欠な機器があります。シリアル番号、利用アカウント、SIM・回線、暗号鍵、保守窓口を含む「運用資産台帳」を作り、最終契約の対象資産表と承継当日の受渡表を一致させます。
13.鍵、カメラ映像、入退室情報は「個人情報」と「警備機密」の両面で守る
防犯カメラ映像により特定の個人を識別できる場合、その映像は個人情報に当たります。顔識別機能、入退室履歴、車両番号、GPS、緊急連絡先、従業員名簿などは、取得目的、利用範囲、保存期間、閲覧権限、委託先、安全管理、漏えい時対応を確認します。すべての映像を同じ法的区分と決めつけず、個人情報データベース等への該当性や利用実態を個別に判定します。
一方、鍵、暗証番号、カード、施設図面、警備計画、巡回経路、死角、警報履歴、基地局・待機所の運用は、個人情報に該当しない場合でも極めて重要な警備機密です。初期のデューデリジェンスでは、顧客名や施設名を伏せた集計表から始め、必要性が高まる段階で閲覧者を限定します。オンラインデータルームでは、印刷・保存の制限、透かし、閲覧ログ、二要素認証、期限、不成立時の返還・消去を定めます。
個人情報保護委員会のガイドラインでは、合併、会社分割、事業譲渡等による個人データの承継は、一定の枠組みで第三者提供に当たらないとされていますが、承継前の利用目的の範囲内で扱う必要があります。交渉段階での情報提供も無制限ではありません。提供目的、対象、方法、管理、交渉不成立時の返還・消去を契約で定め、必要最小限にします。
承継当日は、共有パスワードをそのまま渡すのではなく、管理者アカウント、鍵、カード、コード、証明書、端末、SIM、クラウド委託先を棚卸しし、必要な再発行・権限変更を正式に行います。誰が何を受領し、旧権限をいつ失効させたかを記録することが、顧客への説明と事故対応の両方に役立ちます。
14.事故、苦情、行政対応は件数ではなく「再発防止の完了」を見る
警備業法は、警備業者に依頼者等からの苦情を適切に解決するよう努めることを求めています。事故・苦情台帳では、発生日、現場、業務区分、事実、初動、顧客連絡、警察・保険会社への連絡、損害、原因、是正、教育への反映、完了確認を追います。件数が少なくても、記録されていない、担当者の記憶だけ、同種事故が繰り返される場合は、管理体制を再評価します。
公安委員会や警察による立入、報告要求、指示、営業停止、認定取消等の有無と対応記録も確認します。千葉県警察は警備業に関する行政処分を公表していますが、公表ページに掲載がないことだけで問題なしと結論づけず、譲渡企業の届出ファイル、改善報告、顧問専門家の記録、役員確認書を照合します。係争、保険請求、労災、顧客からの損害賠償請求は、将来負担と最終契約の補償条項へつなげます。
市原市の工場・建設現場・物流施設を警備する場合、車両接触、転倒、熱中症、設備への誤操作、立入禁止区域への進入など、現場固有の安全手順が重要です。現場KY、緊急連絡網、保護具、教育、巡察、ヒヤリハットを顧客仕様と照合し、承継による制服・指揮系統・連絡先変更が事故要因にならないようにします。
15.企業価値評価の前にそろえる必要資料
企業価値評価では、調整後利益や将来キャッシュフローだけでなく、その利益を生む契約と配置体制が承継後も続くかを確認します。警備業認定、責任者、教育、顧客契約、機械警備、個人情報、労務の未整備に追加費用が見込まれるなら、価格交渉だけでなく、クロージング前の是正、停止条件、一定額の留保、補償の設計に反映します。公表された成約倍率を無条件に当てはめる方法では、現場ごとの継続性を評価できません。
譲渡企業が最初に準備したい資料
表は横にスクロールできます。
| 領域 | 主な資料 | 確認目的 |
|---|---|---|
| 認定・届出 | 認定通知、更新、標識、営業所・役員・責任者の変更、服装・護身用具、行政照会 | 認定主体、期限、登録内容と実態の一致 |
| 資格・教育 | 資格者証、選任、検定合格証明、警備員名簿、教育計画・実施記録、巡察 | 区分別の配置と教育継続 |
| 契約・顧客 | 契約前後書面、基本契約、仕様、覚書、入札、再委託、解約・承諾条項 | 収益と契約継続条件 |
| 機械警備 | 開始・変更届、基地局、待機所、管理者、対象施設、到着・措置記録、保守 | 即応体制とシステム継続 |
| 財務・労務 | 現場別売上・原価、勤怠、賃金、36協定、社会保険、採用・退職、労災 | 正常収益と潜在債務 |
| 情報・資産 | 鍵・映像・権限台帳、規程、事故、保険、車両、装備、回線、リース | 安全な移管と追加投資 |
最初から顧客名や警備計画を広く開示する必要はありません。匿名集計、契約類型、現場別採算の範囲で候補先を絞り、秘密保持と情報管理の体制を確認してから段階的に開示します。市原M&A総合センターでは、譲渡企業向け相談フォームから、開示順序や資料整理を含めて相談できます。
工場・プラントの施設警備契約を多く含む場合は、顧客側の停止工事、入構教育、協力会社管理も含め、製造・プラント関連会社の承継実務も参考になります。建設現場の交通誘導を中心とする場合は、元請契約と現場配置を考える際に建設・設備工事会社の契約承継の確認視点も役立ちます。
16.最終契約では、認定・人材・顧客・移行を条件として明文化する
最終契約書では、取引価格や支払日だけでなく、認定、届出、責任者、教育、検定合格警備員の必要配置、顧客契約、機械警備、個人情報、事故・行政対応、労務、資産の正確性を表明保証の対象として検討します。法的論点が見つかった場合、すべてを一般的な補償条項へ押し込まず、クロージング前の是正義務、停止条件、個別補償、価格調整、解除権のどれが適切かを分けます。
重要な責任者や管理者の継続雇用、譲受企業側の認定、顧客・リース会社・システム会社の承諾、入札資格、保険付保、鍵・データ移行、機械警備の切替試験などは、完了証拠まで定義します。「必要な届出を行う」という抽象表現では、期限や担当が曖昧です。届出名、提出先、提出時期、必要添付、受領確認、代替措置を一覧にします。
取引形態別に最低限分ける判断
表は横にスクロールできます。
| 項目 | 株式譲渡 | 事業譲渡等で営業主体が変わる場合 |
|---|---|---|
| 認定主体 | 法人は存続。届出事項の変更と欠格事由を確認 | 譲受企業側の認定を開始前に個別確認 |
| 顧客契約 | 支配権変更・通知・解除条項を確認 | 契約移転の同意と新契約を案件別に確認 |
| 雇用 | 雇用主法人は同じでも説明・処遇・離職リスクを確認 | 労働契約の承継は各労働者への説明と真意による同意を確認 |
| 資産・データ | 所有関係と支配権変更条項を確認 | 移転対象、第三者同意、利用目的、権限切替を特定 |
2026年5月25日適用の厚生労働省の事業譲渡等に関する指針も確認し、労働者への説明、同意取得、労働条件の提示を工程化します。株式譲渡で雇用主が変わらない場合でも、経営体制や業務運営が変わるなら、法的最低限とは別に、離職を防ぐ丁寧な説明が必要です。
17.承継日から100日まで、サービス停止を防ぐ実行計画
承継後統合作業(PMI)は、クロージング後に考え始めるものではありません。警備会社では顧客現場が毎日動くため、承継日当日の勤務表、指揮命令、緊急連絡、鍵、車両、システム、保険が一つでも欠けると、重大なサービス障害につながり得ます。デューデリジェンスで見つかった課題を、承継日、三十日、六十日、百日の工程へ落とします。
表は横にスクロールできます。
| 時期 | 優先作業 | 完了証拠 |
|---|---|---|
| 承継日 | 認定・届出前提、責任者、全現場シフト、緊急連絡、鍵・権限、保険を確認 | 受領書、配置表、連絡網、権限変更ログ、切替試験記録 |
| 30日まで | 顧客訪問、従業員面談、教育補講、事故・苦情の未完了案件、原価差異を確認 | 面談記録、是正一覧、教育記録、現場別月次 |
| 60日まで | 単価・配置・採用計画、協力会社、機械警備冗長化、装備更新を見直す | 承認済み改善計画、見積、契約改定記録 |
| 100日まで | 責任者後継、教育品質、顧客継続、労務・情報管理の監査を実施 | 内部監査報告、再発防止、次年度計画 |
統合を急ぐあまり、報告書式、制服、勤怠、給与、監視システムを同日に全部変えると、現場の混乱が増えます。安全と法令に直結するもの、顧客との接点、従業員の生活に関わるものを優先し、それ以外は段階的に統合します。旧経営者の個人関係に依存する顧客や採用ルートは、面談同行、紹介、記録化を行い、期限付きの引継ぎ支援とします。
市原市の警備会社のM&A・事業承継チェックリスト
- 認定番号、公安委員会、認定日、更新期限、更新履歴を確認した
- 主たる営業所、各営業所、現場詰所、基地局、待機所を区別した
- 営業所と業務区分ごとの警備員指導教育責任者を確認した
- 機械警備の基地局ごとの管理者、待機所、車両、即応体制を確認した
- 警備員名簿、教育計画、実施記録、検定合格証明書を突合した
- 顧客・現場別に契約期間、更新、解除、承諾、配置、粗利を整理した
- 契約前書面と契約後書面、仕様書、請求条件の一致を確認した
- 公共入札、協力会社、再委託、派遣禁止への対応を確認した
- 勤怠、割増賃金、休憩・仮眠、移動、36協定、社会保険を確認した
- 服装、護身用具、車両、無線、装備、保険の台帳を確認した
- 鍵、映像、入退室、警備計画、権限、返還・消去を設計した
- 事故、苦情、行政対応、保険請求の是正完了を確認した
- 取引形態に応じた認定、届出、契約承諾、雇用手続を確認した
- 承継日当日の配置、連絡、システム切替、権限変更を試験した
よくある質問
Q1.警備会社の事業を買えば、譲渡企業の認定番号を使えますか。
当然に使えるとは考えないでください。警備業の認定は営業主体に対するもので、名義貸しは禁止されています。営業主体が変わる取引では、譲受企業の認定、営業所、責任者、開始時期を所轄警察署等へ事前に確認します。
Q2.株式譲渡なら警備業法の手続はありませんか。
法人が同一でも、役員、代表者、名称、所在地、営業所、責任者等の届出事項に変更があるかを確認します。欠格事由、標識、顧客の支配権変更条項、入札資格も別に確認が必要です。
Q3.資格者証を持つ社員が一人いれば足りますか。
一律には足りません。警備員指導教育責任者は、原則として営業所ごと、取り扱う警備業務区分ごとに選任します。資格者証を持つことと、選任され専任で職務を行えることは分けて確認します。機械警備業務管理者は別の役割・資格です。
Q4.機械警備の契約件数だけで事業価値を評価できますか。
件数だけでは判断できません。基地局、待機所、管理者、車両、通信、保守、誤報・障害、到着実績、顧客設置機器の所有・リース、更新投資を確認し、継続可能な収益へ調整します。
Q5.警備員を人材派遣として顧客へ引き継げますか。
警備業法上の警備業務は労働者派遣の禁止業務です。警備会社が警備業務を受託し、自社の指揮監督の下で配置する運用と、顧客が個々の人へ直接指揮する派遣の実態を区別してください。
Q6.デューデリジェンスでカメラ映像や警備計画を候補先へ渡せますか。
M&Aの検討だから無制限に渡せるわけではありません。初期は匿名・集計情報を優先し、必要性に応じて閲覧者と範囲を限定します。秘密保持、利用目的、安全管理、閲覧ログ、不成立時の返還・消去を定めます。
Q7.事業譲渡では警備員の雇用も自動的に移りますか。
自動移転と決めつけないでください。厚生労働省の指針を踏まえ、承継を予定する労働契約、労働条件、選択肢を十分に説明し、各労働者の真意に基づく同意を得る工程が必要です。
Q8.相談前にすべての問題を直す必要がありますか。
すべてを一人で直してから相談する必要はありません。認定期限、責任者退職、重大事故、顧客更新、機械警備の切替など、時間制約が大きい事項から事実を整理し、専門家と優先順位を決めます。
参照した公的一次資料
以下は2026年8月1日に確認した資料です。法令・制度・申請様式は改正されることがあるため、実行時点の最新版と個別案件の所轄を必ず確認してください。
- e-Gov法令検索「警備業法」(認定、業務区分、標識、変更届、名義貸し、契約書面、機械警備)
- e-Gov法令検索「警備業法施行規則」(申請・届出、責任者、備付書類、機械警備)
- 警察庁「警備業法等の解釈運用基準」
- 警察庁「警備員教育に係る警備業法施行規則等の改正通達」
- 千葉県警察「警備業に関するお知らせ」(2024年改正、講習・検定)
- 千葉県警察「警備業関係申請書」
- 千葉県警察「市原警察署フロア案内」
- 千葉県警察「各種申請・届出の予約制」
- 厚生労働省「派遣労働者として就業できない業務」
- 厚生労働省「事業譲渡又は合併を行うに当たって会社等が留意すべき事項に関する指針」
- 個人情報保護委員会「個人情報保護法ガイドライン(通則編)」
- 個人情報保護委員会「個人情報保護法ガイドラインQ&A」
- 中小企業庁「中小M&Aガイドライン」
本記事は一般的な情報整理を目的とし、認定の可否、届出期限、契約移転、労働契約、税務、個人情報、企業価値の結論を示すものではありません。案件ごとに千葉県警察・所轄警察署へ確認し、弁護士、司法書士、税理士、社会保険労務士等の専門家へ相談してください。
市原市で警備会社の承継を検討している譲渡企業へ
認定、人材、顧客契約、機械警備を止めずにつなぐため、まだ譲渡を決めていない段階から情報を整理できます。譲渡企業からは、成功報酬を含むM&A支援手数料をいただきません。
秘密保持に配慮し、初回から顧客名や従業員名の開示を求めるものではありません。
